第8回 国内外における化粧品の範囲の違い

日本国内に輸入し販売(製造販売)される化粧品は、薬機法第2条第3条で定められている化粧品の定義「人の身体を清潔にし(中略)若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦(中略)する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なもの」に該当していなければなりませんが、この定義は、国によって若干の違いがあり、各品目における化粧品の範囲も様々です。

 

例えば、日本国内では医薬部外品として取り扱われる制汗剤はEUでは化粧品として取り扱われており、また、日本国内では化粧品として取り扱われる日焼け止めはアメリカでは医薬品として取り扱われています(図1)。こういった背景から、同じ化粧品であっても、日本と海外とでは標榜できる効能効果が異なる場合があります。

図1.日本、アメリカ、EUにおける化粧品への該当性の違い

 

ここ数年、日本国内で流通している化粧品について、その容器包装等に化粧品の効能効果の範囲を超える表現を記載したことが原因で回収となった事例が年に数件程度報告されていますが、その中には、英語による表記の内容が不適切と判断された事例が含まれています(図2)。これは、日本と海外とでは標榜できる効能効果が異なる場合があることを十分に認識できていなかったことに起因するものと思われます。

 

その他、化粧品の販売名に、化粧品の効能効果の範囲を超えた意味のフランス語を用いて化粧品製造販売届を提出したところ、その語は化粧品の効能効果の範囲を超えた表現に該当し認められない、と判断された事例も報告されており、英語以外の言語であっても行政による取締りの対象となり得ることが示されています。

図2.回収の原因となった英語の文言の例

 

例え外国語であっても、製品表示や広告等を作成する際には、その内容に十分に注意されるべきものと思われます。